『だから嫌われる』第24条 融通の利く人間
『だから嫌われる』
第二十四条 融通の利く人間
頑固一徹の人間は、その頑固さを好むある少数の人々には迎えられるか知れないが、社会は一本調子には行かないものだから、機に応じて融通の利く人の方が話しいい。
「あれはあれだけの人間だ」ときめてかかるようでは、近づく人も少くなる。融通が利くと言うことは、その人間の理解力の豊かさを示し、常識の広さを語るものである。また大胆さでもある。小心で狭い人間は融通が利かない。
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ジャンケンは、ヤナセ会長梁瀬次郎氏著『じゃんけんぽん』によれば、1700年前後に中国から長崎に伝えられ、全国に広がったそうです。
人をジャンケンで分けると、頑固な人はグー、融通の利く人はパー、それに、どちらともいえない人は、チョキという三つになります。
グーは、形が示すようにつかんだものは離さないタイプです。一度手にした宝飾品などにも執着します。そして頑固一徹、一途な人とも言えましょう。
自分の掲げたビジョン、人生の目標などに対しても、邁進する頑固一徹の人です。これがふらふらしては何ごとも成就できる道理はないでしょう。一徹は一流に通じます。
自分に対しては頑固一徹でもいいのですが、こと他人に対しては、融通の利く人になりたいものです。パーは、てのひらをいつも上に向けて、あけっぴろげの人、裏の無い人、鷹揚な人といえます。物をつかみ、離したくないと思うとつかんだものしかつかめませんが、手のひらを上に向けたパーだと、広くたくさんのものを載せることができます。
無限に載せようと空想すればあらゆる物をのせることもできるのです。お椀状にすると容器になり、水でさえ入れることができます。指の隙間からこぼす余裕もあるのです。つまり、パー型人間は、あけっぴろげでつねに何か融通を利かせようとする人です。
そのためには、他人への思いやりや気づかいがその根底になければなりません。そうでなければ、余裕の心をもって相手の話を聞いてあげられないからです。
その中間のチョきはというと、はさみに加えて、小さなパーと小さなグーを持っています。チョキ人間とは、自分に対しては、厳しくグー人間であり、他人に対しては、パー人間のことであり、その切り替えがきちんとできる思いっきりのいい人でもあります。もちろん、中には逆の人もいますし、切り替えが巧くいかず優柔不断の人もいますが・・・。
沢庵和尚は「心は四方八方、右左と自由に動きながら、1つのことに決してとらわれないのが不動智なのです。これを身につけることができれば、千手観音のようにたとえ千本の手があったとしても、立派に使いこなせる」と説いています。
状況に応じて、臨機応変にことを処していくためには、まず心がひとつにとらわれないことです。
秒単位で進化するIT時代の今日、自分にはグー、他人にはパーとして、その間を臨機応変にチョキチョキと切り拓いて行くチョキ人間になりたいものです
人に好かれる秘訣とは、臨機応変のバランスをを取りつつ融通を利かせることです。
① ゆったりと構えているが、機敏な対応をする
② 慌ただしい時でも、冷静さを失わない
③ 大雑把であるが、手を抜かない
④ 明るい性格だが、浮ついたところがない
⑤ 毅然としているが、厳しすぎない
⑥ 行き届いているが、細かいことまで目くじらを立てない
⑦ 機転が効いているが、あくどい駆け引きは使わない
(呂新吾『呻吟語』)
グーばかり、パーばかり・・・だから嫌われる