「九州大学経済学部同窓会報」2020年11月号「健筆模様」投稿
体育会系から著述家への屈曲の道
2009年上梓の10冊目『広報・PRの基本』が毎年重版のロングセラー故、今年1月新版を上梓すると、10以上の書評の後押しで早くも7月に重版となり、コロナ禍での“巣籠”の産物『すぐよくわかる絵解き広報』が9月世に出た!更なるロングセラーにより我が思想拡大の功徳を祈り、昨年『山見塾』開塾!自ら共感共鳴者を募っています。
処女作は2002年独立時の『会社をマスコミに売り込む法』!中小企業向け初の本として西日本新聞に写真付きで大きく紹介され、講演の依頼を頂くなど軌道にのり、毎年出版により20冊を超えたのです。
1945年飯塚生れ、中1からバスケに熱中、中3で主将として県大会初優勝、嘉穂高校でも県・九州制覇しインターハイへ! 両決勝とも同じ相手で僅差の逆転優勝が「一片の紺碧が空にあるかぎり、天候を絶望視してはならない」(ショーペンハウアー『幸福について』)と窮地に活路を見出す体験となり、独立後、危機に遭遇した企業に、起きたことを嘆くより直ちに“好転の手を打て”と専門家として助言の源になっているのです。
1浪後経済学部に入学するも、バスケに没頭(+麻雀)し、六本松で下宿と体育館との往復の日々! 単位ギリギリで箱崎へ行けても懲りず、六本松との往復に明け暮れた・・・その猛練習の甲斐あり県リーグ戦では、福大には未勝利なるも西南大に勝ち2位になるなど健闘、「個人ベスト5+インカレ2回出場」は内心の誇りです。
「亭々舎」でのコンパにおける垂水春雄先生(バスケ部長)の御挨拶に「ひたぶるな努力は美しい!」とのお言葉を心に刻み、爾来、浅学を憂い非才を嘆じるより、”有能でなくとも、有用であれ“と“ひたぶるな努力の継続”を心掛けています。しかし、殆ど授業に出なくて先生方に合わせる顔はありません。
就職は“バスケで立身”の願いは叶わぬとも、A無き輩を“拾う神”あり! 1968年神戸製鋼入社後、人事・鉄鋼営業を経て輸出部では、初の海外出張! 更には、1977年カタール製鉄プロジェクトに従事しドーハ駐在・・・と英語が好きだった中学からの念願を果す!
1979年広報係長として帰国、爾来一貫して広報に携わることになったが、これが今の仕事に繋がるとは知る由もなし! 1981年広報課長の後、日豪国家協力「褐炭液化プロジェクト」に派遣され4年半メルボルンにも駐在、91年広報部長後、独デュッセルドルフ事務所長として三度目の海外に勇み、3年駐在中、奇しくも人生の転機を自作自演・・・神戸製鋼と伊・ランボルギーニ社との提携によるスーパーカー商業化という日独伊の国際コラボを企て、1997年帰国時に、家族バトルにも屈せず意を決してベンチャー企業へ転身した!が、折からの金融不安で半年足らずで断念! 無謀と笑った人達から“やっぱり”との嘲笑を背中に感じつつ、経営コンサル会社を経て、“謀らずも”2002年独立の道を選び、現在コンサル、講師、執筆等で生業中です。
ここで、我が広報思想をご理解頂きたく存じます。なぜ知名度を上げ有名になりたいのか?への解に本質あり! 世界のHero宇宙飛行士若田光一さんの偉業が報道され、若田さんが我が同窓生と知った時、OB・現役のみならず、福岡県民も喜び、誇らしく思ったでしょう。つまり、偉業の大きさに比例して世界に拡がり、喜び・誇らしさは身近になる程深くなるのです。しかも有名になれば自律心が芽生える!
それが会社なら、誇りと自信を持った社員はこぞって良い商品を造ろうとし、喜ばれるサービスを提供したくなる。顧客が増え業績も上がると、顧客や取引先も喜び、誇りを抱く。誰もがHero・Heroinに夢・憧れを抱くのと同じ・・・これが本質です。そこで、広報の努力を怠り軽視する幹部や社員は、次の3つのチャンスを逸しています。
1. 説明責任を果すチャンス
2. 業績向上のチャンス
3. 人に喜び・誇り・自信・社会的責任の自覚と自律心を与えるチャンス
広報の重視は、義務・使命であり、その軽視は、怠慢・傲慢! 広報の無視は、「或ることを為した為に不正であるのみならず、或ることを為さない為に不正である場合も少なくない」(アウレーリウス『自省録』)不作為の罪!なのです。
大金で“有名”を買っても、品質が劣り、社員の対応に配慮を欠けば、信用失墜、炎上で忽ち滑落する。言葉で飾り、化粧が過ぎると必ず暴かれます。
正統には、社員の品性・製品の品質・会社の品格の「三つの品(ひん)」が常に進化・高度化するのに比例して知名度が向上していくプロセス・・・が理想。つまり、知名度アップの何倍ものリスク増大を常に恐れ、「三つの品」向上の仕組みとその下落阻止・改善体制を構築すべきです。
真の広報活動とは、善い商品が記事に→有名に→社員に喜び・誇り→善い商品・サービス提供→顧客が喜び→業績拡大→より優れた商品提供・・・つまり、周りの皆に喜び、誇りを与え、敬愛される企業にする長期的な経営活動を循環させることなのです。
従い「私の言動が(自社名)です」と言える「真人間(まにんげん)」、つまり、自分が代表者だ!との自負心・自尊心・自律心を持つ社員を育てるのです。小手先では長続きする道理はありません!
実は“自分も何かの・次へのメディア(媒体)”なのです。よりメディア価値を高めて引き継ぎましょう。
私の著作の動機は、「成形の功徳」=形を成せば光を放つ(森信三『修身教授録』)との一会です。ばらばらの写真をアルバムに成形すると末代迄楽しめる! 祝典での正装や額に入った絵画も、古典やオペラも成形で功徳を与える。良い部品を集め成形した車やパソコンが役立つように、著作とは、知識経験を言葉で繋ぎ文章化して形を成すこと! 企業も社史にすると末永く遺る。従い私は誰にも本の出版を薦めるのです。
今も、2013年上梓『企業不祥事・危機対応広報完全マニュアル』の新版を執筆中で年内上梓予定。
「日本ペンクラブ」会員でもあり一介の著述家として異分野のテーマへの挑戦も余生の楽しみです。
安倍晋三首相の突然の辞任による○○新体制においても、新常態におけるリモート時代が続く中、暫し立ち止まり自問自答、「果して自分は“Essential(かけがえのない) Worker(仕事師)”なのか?」と! 九大生たる者は、三独=独自独特独創の自分であり、三独の仕事をし、三独の人生を送る・・・「人間の幸福は自己の優れた能力を自由自在に発揮するにある」(アリストテレス)のです。自分が、自分の能力に恥じない・値する仕事を自分に命令し、遂行させましょう。
2019年発足「九大CEOクラブ」の末席にて若手支援に何か貢献も・・・母校の誇りを胸に、母校の名声高揚に何がしかの役立ちを自らに期待し、願っています。
こうした独りよがりの人生故に、日頃愛吟する一句を・・・
「真砂(まさご)なす数なき星の其の中に 吾(われ)に向ひて光る星あり」(子規)
以上
2020年11月号「九州大学経済学部同窓会報」健筆模様「山見博康」1_0001
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